ＴＨＥ ＮＥＷ 孤島通信 ＨＴＭＬ版		２００６．７．１５　　第７１号 編著者　一匹山猫じゃじゃモル
	登山口に咲く花
	キリマンジャロへの道
	（１）タマシャ・アフリカ
	アトラストレック社から「催行人員に満たずツアー中止」の連絡を受けたとき、思わず耳を疑った。真っ白になりゆく視界の中で、私は「いや、意地でも行くぞ、絶対行くぞ。」とつぶやいていた。 　すぐにインターネットを起ち上げ、「キリマンジャロ登山」と検索窓に打ち込んだ。トップに出て来たのが「タマシャ・アフリカ」という会社だった。はっきり言って初めて耳にし、初めて利用する会社である。ひょっとしたら詐欺業者かも知れない。だが、確かめている時間も手段もない。ここはひとまず信じるしかない。 　早速電話した。電話に出た男性は、外国訛りである。「ダニエル」と名乗った。ちょっと不安を感じた。外人でちゃんと話が通じるのだろうか？もっとも、彼の日本語力を疑っている場合でもない。出発予定日までにはもう１ヶ月しかないのだ。グズグズしているとタイムアウトになる。 　ツアーを変えるのだから、別に日程も変えればいいじゃないか、と読者は考えるかも知れない。だが、変えるわけにいかない事情がある。それは学校の農園の水やり当番である。私が旅行に行っている１０日間、畑の水やりをサボれば、作物は間違いなく枯れる。そのために、この１０日間だけ、と無理をある同僚にお願いしている。その日程をずらせば彼にも都合があり、畑は干上がってしまう。私の個人的都合で水やりが頼める人、なんてのはそうそういるものではない。 　日程希望を告げると、ダニエル氏は、「航空券が取れるかどうかが問題ですね、とりあえず当たってみますので、電話番号とメールアドレスを教えてください。」と言った。私は、返事はFAXにしてほしいと告げ、祈るような思いで返信を待った。 　翌日早速FAXが入った。「行き、帰りともエミレーツ航空で予約できます。」との内容だった。エミレーツ航空なんて聞いたことはないが、まさかセスナ機ではなかろう。それで進めてください。とすぐに返信。以下はメールでのやりとりになった。 　アトラストレック社の方は、ツアコンのつく団体旅行であるのに対し、今回は「個人手配旅行」である。費用は２０万円ほど安くなる代わりに、現地に着くまでのトラブルはすべて自分で処理しないといけない。前回キナバルでのドタバタ騒ぎを思い出した。だが腹をくくるしかない。 　ビザ申請、外国送金などの手続きも甚だ面倒だった。アトラストレックは申請用紙にサインの箇所さえ書いて送れば全部向こうでやってくれた。だが、今回はほとんどアルファベットでぎっしり書かないといけない。送金も、手数料節約のためには特定の銀行（東京三菱UFJ）から、タマシャ・アフリカのナイロビ本社に直接振り込んだ方がよいとのことで、これまた英文字オンパレードのややこしい手続きだった。 　実際に費用を振り込んでも、半信半疑だった。もし詐欺だったらどうしよう？だが、それまでに結構ちゃんとした資料を送ってくれていたので、大丈夫、と自分に言い聞かせて・・・ 　航空券と預けていたパスポートが送られてきて、９割方は不安が薄らいだ。だが、ビザは？いつ届くのか？ひょっとして申請書類に記入不備があったのでは？だが、これは笑い話だった。メールで問い合わせると、ビザはパスポートの中をご覧下さい、という返事。パスポートのページにそれはスタンプで押されていたのだ。ニュージーランドもマレーシアもビザは必要なかったもんで・・・ 　現地のガイドとの対面がうまくできるかという不安も、空港に着いたら私の名前を書いた紙を持って立っていてくれるという話で納得した。かくして９９％の疑いは晴れ、後は出発を待つのみとなった。 　さて、今回のツアー概要をご覧いただきたい。
	日程	スケジュール
	７月２１日	23:15関空発（EK３１７便）。 5:00ドバイにて乗り継ぎ（5時間待ち）。機内泊
	７月２２日	14:15ジョモ・ケニアッタ国際空港着、ナイロビへ。 パナクリフ・ホテル泊。
	７月２３日	7:00朝食後、シャトルバス乗り場へ。8:00ナマンガへ。 タンザニア入国後、キリマンジャロ山麓のモシへ。 スプリングランズ・ホテル泊。
	７月２４日	朝食後、迎えの車でキリマンジャロ国立公園入口の マランゲ・ゲートへ。 入山手続き後、ガイド・ポーターと合流し登山開始。 樹林帯を登り約４時間でマンダラ・ハット（2727ｍ）着。 マンダラ・ハット泊
	７月２５日	樹林帯から灌木帯へ。キリマンジャロ主峰が見える。 約５時間でホロンボ・ハット（3720ｍ）へ。 ホロンボ・ハット泊
	７月２６日	約１時間で最後の水場通過。 サドルから砂漠帯に入る。 約６時間でギボ・ハットへ（4703ｍ）へ。 ギボ・ハット泊。
	７月27日	夜中の1時発。暗い中を砂漠帯から岩場へ。 ギルマンズ・ポイント（5682ｍ）着。 体力に余裕があればウフル・ピーク（5895ｍ）へ。 帰路はもと来た道をホロンボ・ハットへ。 ホロンボ・ハット泊。
	７月２８日	朝食後下山開始。 マンダラ・ハットを経てマラング・ゲートへ。 迎えの車でモシヘ。 スプリングランズホテル泊。
	７月２９日	6:00朝食後、車でアリューシャへ。 8:00シャトルバスでナイロビへ。 13:00ナイロビ市内のケニア料理レストランにて昼食後、土産物店へ。 15:00空港へ。17:15ケニア国際空港発。 23:15ドバイにて乗り継ぎ。（３時間半待ち）
	７月３０日	2:50ドバイ発。17:20関空着（EK316便。)
	さて、この旅でどのようなドラマが展開されるのか、じゃじゃモルは無事生還できるのか、帰国後の続報を待て。
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