少しでも早く百名山を達成するのが目標だったから、同じ山には一度きりしか行かない。

　もっとも、仕事や家族旅行が重なったりした場合は別だが・・・

　だが、この写真の銀山渓谷を、はからずも二度、いや往復だから四度も私は見ることになる。

　群馬県の皇海山、私のようなアンチモビーラーには、攻略の難しい山である。
　クルマのある人は、裏の林道から詰めれば１～２時間で山頂に立てる。

　一度目のチャレンジは、2005年の秋である。だが、長い道のりと深い笹に悩まされたあげく、道標を見失い、泣く泣く引き返さざるを得なかった。

　次なるチャレンジは2007年の春、まだ残雪の残る、これまた難コース。雪の中でテントを張った私は、サブ行動で挑むが、またもや雪で閉ざされた登山ルート。だが、山の女神は私を見放さなかった。73というナンバーがこの山頂に刻まれた。

　上の写真はその帰りに撮ったものだ。細かく白いものは、舞い散るマメザクラの花びらなのである。奥山でも遅い春が深まろうとしていた。