2001年春、ニュージーランド・ミルフォードトラックの旅・・・「人生観を変えた旅」とあちこちで述べているが、変わったのは人生観だけではなかった。

　それまで、いっちょまえにNikonファンのつもりで、FEに始まり、F3も使ってきた。この旅行に持って行ったのはF60Dだった。

　フィルムには「リアラ」を奮発し、盤石の体制で臨んだはず、だった。ところが・・・・

　帰って現像に出し、出来上がってきた写真は・・・涙チョチョ切れるくらいに情けないものだったのである。
　色は出てないわ、コントラストはきつすぎるわ、ピントは合ってないわ（一応オートフォーカスなんですけどー）、自慢できる作品など、一枚もなかった。

　一方、50万円もかけた旅で失敗があってはと、予備に持って行ったCanonのPowershotG1、こいつが思いもかけない大活躍をしてくれたのだった。

　上の写真を見てほしい。どうしてこんなに緑一色なのかと思うだろう。だが、これが限りなく現実に近いのである。
　F60Dでは、この色がどうしても出なかった。「リアラ」を使っているのにもかかわらず！

　NikonよりCanonの方が優れている、そういう話ではない。
　2001年この時点において、少なくとも普及品においては、デジタルはすでにフィルムを凌駕していたのである。

　この写真を旅で一緒になった外国の友人たちに添付ファイルで送った。なかなか好評だったように思う。ある女性は、デスクトップの壁紙にして楽しかった旅を思い出しているという。

　それからもう10年以上が経過した。
　今更白籏史郎さんが何を語ろうと、私はもうフィルムに戻ることはないだろう。一匹山猫じゃじゃモルは、一生死ぬまでデジタリアンである。